マイクを使って話をしようとするときに、マイクやスピーカーの音が、“ワ〜ン”って音で響くことあるでしょ。
これなんでか知ってる?これはね、「共鳴」という現象が起きているから。多くの人は、そのことを何となく知っているから、“ワ〜ン”って耳障りな音が鳴った瞬間に、急いでマイクをスピーカーから遠ざけけたりするでしょ。
この耳障りな音の現象は、振動体がその固有振動数に等しい外部振動の刺激を受けると、振幅が増大するからで、この現象を「共鳴」っていうのだ。
さて、この「共鳴」ってコトバ。
なんか学校で習った覚えない?「振動数の等しい二つの音叉の一方を鳴らせば、他方も激しく鳴りはじめる」なんていう実験やらなかった?ま、それはいんだけどね。
言いたいのは、このことから、他人の考えや行動などに心から同感することを「共鳴」と表現しているってこと。
分かりやすくするために、「共鳴」の同義語で、「共感」ってコトバがある。私はね、「共鳴」と「共感」って少しちがう気がしていて。
「共感」は、他者の感情を共有することで、いわゆるミラーニューロンの働きだったりする。例えば、相手が痛みを感じている時に、自分も「あ〜痛そう〜」って感じるとか、相手が苦しがっているのを見ると、「あ〜苦しそう、大丈夫?」なんて思いながら、自分まで苦しくなっちゃったりそういう感覚。相手の感情を自らに鏡のように写し取って、同じように感じてしまうこと。
「共鳴」は、他人の思想とか、信条に触れることで、自分の心が揺れ動くような、揺さぶられる感覚。「共感」が「共に感じる」という心の中だけの動きだとしたら、「共鳴」は「共に鳴る」だから、響きあうような行動が伴なう感じ。
例えばね、あるリーダーが、「感情を良い方向へ導くことで、そのチームの良い資質とかっていうのを引き出そう」ってなったら、何をすべきかというとね、「共鳴」させることだと思う。つまりだ。リーダーが、感情のレベルで適切に対処できるかどうか、いかに自分の信条っていうものを伝えきれるかにかかっているってこと。
脳の話をすると、ヒトは、大脳辺縁系という情動をつかさどっている脳の部分に「開回路」性っていうのがあるらしい。これは、進化の過程で有利に働いたと言われていて、この「開回路」のおかげで、お互いに助け合うことができたとも言われている。
例えばね、この「開回路」のおかげで、母親は泣いている赤ちゃんをあやしたり、見張り役の人が何かの危険を察知して、即座に仲間に知らせる、なんてことができる。こんな役目から、科学者の人たちは、この「開回路」の作用を「人間相互間の大脳辺縁系調整作用」なんて捉えていたりする。
すんごいことだよね。
だって、一人の人間の発する信号(赤ちゃんが泣くとか、危険を知らせるとかね)が、他の人間のホルモンレベルや心臓血管機能や睡眠リズムや免疫機能にまで影響を及ぼしちゃうってことなんだよ。
人間って、社会生活のあらゆる局面で、こうやって生理機能が絡み合って、感情が同調しあったりする。
分かりづらいから、例えばこんな感じ。
どこかの職場で「嫉妬」や「妬み」とか、「不安」や「恐れ」なんて感情が渦巻いていたとする。この感情は、どんどん「集団感染」していって、新人が入ってもすぐ辞めるとか、病気になる人が多いとか、新しい意見やアイデアなんてまったく出て来ない会議を延々とやるとかっていうハメになる。
良くも悪くも、まとまりの強い集団ほど、雰囲気や潜在的欲求まで共有しあうようになっていく。
これってね、大抵はその集団のリーダーから発せられている。だって、集団の中でのリーダーは、どうしたって発言回数が多いし、リーダーの発言にやっぱり注目しちゃうし、感情を表情から読み取ろうとしたりしてるから。みんなリーダーの考えていることを一生懸命知ろうとするからこそ、リーダーの感情は、どんどん集団に伝染していくってわけ。
リーダーは、こうやって集団の感情形成に決定的な役割を果たしちゃっているんだよね。
まとめるとね、もしかしたら、あなたの感情に共鳴した結果が、あなた以外の誰かを悩ませたり苦しませたり、はたまた、喜ばせたり楽しませたり、才能を開花させたり、腐らせたりしているってこと。
だから、家族でも会社でも趣味の集まりでも何でも、集団の中にいるリーダー的な役割りを担っている人は、そういうことをしっかり意識する必要があるんだぞーっ!!!