こころの知能指数はいくつ?

ダニエル・ゴールマンという心理学者を一躍有名にした本があって、1995年9月にアメリカで発売された ”Emotional Intelligence” という本。

雑誌「TIME」が大々的に特集したところ、52週連続で全米のベストセラー・リストにランキングされるほど話題になり、22か国語に翻訳された。日本ではEQ~こころの知能指数という題名で1996年7月に発売。77万部も読まれているみたい。

ここで疑問。ダニエル・ゴールマン「EQ~こころの知能指数」って本。「こころの知能指数」なんて題名の本が、なぜこんなに読まれたのか?

科学的に証明されたことだから?新しい目からうろこの知見だから?結果至上主義に疲れたから?

どうも、そうではないらしい。

この本を読んだ感想で圧倒的に多かったもの、「そう、これが言いたかったの!」だそうだ。さらに、この内容に共感、活用しようとした人たちって、教育関係者や親なんかじゃなく、ビジネスマンや企業経営者だった。

なんで「EQ こころの指数」なんて本がビジネスの世界、しかも企業経営者に受け入れられたのか??

企業にとって人材育成が重要な課題。で、経営に即反映される。だから「教育の見直し」にも着手しなければいけないのだけど、どの国も企業内での「教育分野」の動きは非常に鈍い。

そこに、ゴールマンはこう言った。

「IQ至上主義ではだめだ、EQをしっかり教えないと将来たいへんなことになる。」

ゴールマンは、IQ(知能指数)重視の伝統に疑問を呈し、脳の働きの体系的研究をEI(Emotional Intelligence)、すなわち「心の知性」の概念として確立し普及させた。経営者たちは、日頃から仕事の場でIQとは別に、「心の知性」すなわち、EQを兼ね備えた人間としての総合力が如何にモノをいうかを実感していた。そこから「社会に出て成功するのに必要な能力はIQが2割、EQが8割」というゴールマンの説に納得がいった。そして、こぞって企業で「EQ」が導入され始めた。その後、ゴールマンは、教育分野においても荒れる子どもたちに接し、こころの教育の重要性を痛感している学校関係者や父母のあいだに一筋の光を与えていったというのです。

私は、私的に今「愛着カウンセリング」なるものをおこなっている。カウンセリング中、NHKで放映した「釜石の奇跡」という番組の話になり、妙にEQの大切さを感じたのでちょっと横道。

どんな番組かというと、東日本大震災で地震のみならず、津波の被害にもあった、岩手県の釜石市。沿岸部にも関わらず市内では、小中学生ほとんどが、押し寄せる巨大津波から逃れて無事だった。その生存率99.8%。なぜ?こんな高い生存率となったのか?ということ。

それは、小中学生が「避難の3原則」を忠実に守った結果だと。その三原則がこれ。

「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」

この奇跡は、子ども達が助かったというだけでなく、周りの大人をも助けたってことらしい。「避難の3原則」は、緊急時のマニュアルでありながら実は、「自分一人が助かればよい」という身勝手な原則ではなく、「すすんで自分以外の人にも手を貸してあげる」ことを子どもたちの心にしっかりと教えていたと。

この実例を見ていて思うことは、いざという時に知識だけでは人は動けないってこと。

あらゆる五感を働かせて、全身で感じて、非言語コミュニケーション能力を使っているんだと思う。だって知識だけだったら、たぶん3原則にある1番目の「想定にとらわれるな」なんていうのはとっても難しいよ。

だから。社会に出たときだけではなく、いざというときの行動。

「IQが2割、EQが8割」を、お忘れなく、私もあなたも生きていきたいものだ。

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