育てられたように、自分の子どもを育てる1

by John-Morgan
by John-Morgan

こんな言葉がある。

「子どもは、育てられたように育つ。」 相田光男

私は、この言葉に続けて、最近こう思う。

「そして、自分が育てられたように、自分の子どもを育てる。」

子育てって、すごーく無意識の部分が関わってくる。「親の因果が子の因果」っていうけれど、親からの育てられ方が自分にしみついていて、ついつい、自分でも意識していないときに、その影響が出たりする。

ここでちょっと脳の話をすると。

私たちホモ・サピエンスは、大きな脳を支えるために直立で立つようになった。そのために産道は小さくなり、難産が余儀なくされて。それを少しでも軽減するために、生まれるときはなるべく小さく、出産後、脳が急激に大きくなる。

どういうことかというと。

脳の大きさって、新生児の時から生後3~4歳児までに、大人の3分の2のサイズにまで成長する。脳の中身も、一生で一番急速に発達する時と言われていて。この時期に、人間にとって大切なことを、最も多く学習して、吸収します。

じゃ、その一生で一番たくさん学習して吸収する時期に、学習すべき最も重要なことってなんでしょ?

それは、『情動の学習』だと言われてます。

『情動の学習』こそが、その子の人生の中で、最も早い時期に行われるべき「早期教育」と言われているもので。

逆に、この時期に強いストレスなんかを受けたりすると、脳の学習機能の中心が損傷を受けてしまい、知能に障害が残る可能性があるとも言われてる。

これは、成長後の経験によってある程度まで回復することもできるけれど、人生が始まって、間もない時期に経験した学習のインパクトって甚大なんだよね。

次に挙げるような子は、4歳までに「学習する情動」に何らかの問題があった子と言われている。

  • 注意に対して集中ができない子
  • 人を信頼せず疑ってかかる子
  • 悲しみや怒りにとらわれていて、楽天的になれない子
  • ルールをわきまえず破壊的な子
  • 不安に押しつぶされている子
  • 恐ろしい空想にとらわれている子
  • いつも自分自身に不満な子

こういう子どもたちは、世の中に満ちている可能性を他の子どもたちと同じように手にするどころか、可能性にすら手を伸ばすことができないだろうと言われている。

最近ある体罰事件、私はその体罰をする側の人の「EQ能力」に欠如があるって思っているんだけど。さらに問題なのは、体罰を受けた側が受け取ってしまった感情の部分だ。

体罰を受けたときの「怖さ」や「恐怖」っていうのが、苦痛やストレスになることはもちろんだけど、それを次の世代へも伝承してしまうってこと。この「伝承されてしまう」っていうのが一番の問題だと思う。

よく、虐待を受けた子は、自ら虐待をしてしまうというケースが報告されている。アメリカのニューヨーク州北部に住む870人を対象に、8歳から30歳まで、EQに欠ける親が子どもの一生にどのように影響を与えるかという追跡調査をした結果、次のようなことがわかったらしい。

「集団の中で、特に好戦的な子ども(最初にけんかを始める子、自分の欲求を通すためにいつも暴力を使う子)は、学校を中途退学する確率が高く、30歳になるまでに暴力行為の前科がついている確率も一番高かった。また、暴力的な性質は、次の世代にも伝わるらしく、彼らの子どもたちもやはり親と同じようにそう学校で暴力問題を起こしていた。」

この調査は、アメリカで行われたものだから、少し日本の事情とは違う部分もあると思うけど。

だがしかし、暴力や攻撃的な性質が次の世代へと伝承されていってしまうという点では日本でも同じな気がする。

子どもに血も涙もない厳罰を加える親の特徴としてあるのは、こうした親たちは「怒る」とき以外は、子どもにほとんど関心を示さないことが多いと言われている。子どもは、親から生々しい、そして、荒々しい、攻撃的な手本を見せられ、家庭で身につけたことを、学校や遊び場など、自分の人間関係の中で実行してしまい、結果、暴力をふるうようになったりします。

つまりね、こういう親たちは、必ずしも意地が悪いわけではないってEQ心理学者のゴールマンは言っている。もちろん、子どもの幸せを願わないわけでもないと。

ただ、単純に、「自分が受けたとおりの子育て」を繰り返しているだけなのだと。

つづく。

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