愛着は心の安全基地
愛着という現象は
自分以外の人やモノとの関係性
を安定的にするだけではなく
生きていくうえでの
自己肯定感や自己有用感
の土台となります
また、大人になってからの
社会においての社交性や探究心
人からの信頼感や人望、他者を愛する力
こういった社会的にも
有意義に働くための幅広い能力の発達にも
根っこの部分で深く関わってくるものです
なぜでしょうか
自分を大切にする力
心理学で言われる「自己愛」や「セルフラブ」
と言われるものを育てるには
自分を愛していい
自分を受け入れていい
そう体感、実感できる
心の安全基地が必要だからです
心において
安全基地が保証されている
ことが自己愛を育てます
この心の安全基地となる場所は
安定した愛着が形成されているからこそ
なりえるものです
愛着のこうした働きを
「安全基地」という言葉で表現したのは
発達心理学者メアリー・エインスワースさんですが
なぜ「安全基地」と表現したのでしょうか
愛着対象(例えば、母親でもお気に入りのぬいぐるみでも)との絆ができ、安定した愛着が形成されることではじめて、安心して愛着対象から離れ、それ以外の外の世界へ冒険をしようという意欲をもつことができる。
逆に、愛着対象との絆がまだ不安定で、安全基地として機能していないときは、子どもは特に安心して行動や活動が出来なくなる。興味や好奇心があったとしても、無関心になったり消極的になりやすくなる。守られていると感じている人ほど、好奇心旺盛で活発に行動し、何事にも積極的になれるのです。
愛着が形成される臨界期は
生まれてから1歳半くらいまで
と言われています
1歳半を過ぎた頃から
愛着対象(母親や養育者)といること
に安心感をもつだけでなく
そばにいなくても段々と安心
していられるようになることで
お留守番ができるようになったり
一人でも好奇心をもって遊ぼうと活動の範囲
を拡げていきます
そして
ストレスや不安や恐さ
を感じたときには愛着対象のもとに戻り
体を触れ合わせたり、抱っこしてもらう
ことで安全を確認し、あらためて安心感を得ます
この一連の心の動きに沿った
行動が、愛着を発見したボウルビィの唱えた
「愛着行動」ですが
この「愛着行動」が
安定した愛着対象との関係性の中で
繰り返されることで
3歳頃になると
愛着対象を安全基地、ホームベース
としながら並行して
他の愛着対象(例えば、お友だちや先生、ぬいぐるみやバスタオルの時もある)
やさらなる安全基地を見つけ、自分自身の能力を発見したり、成長させるための
努力に惜しみなく自分を使うことをし始めます
ここで知ってほしいこと
それは
大人も基本的に同じ
ということ
安定した愛着関係によって形成された心の安全基地によって
安心感や安全感が守られていると感じられている人は、仕事でも友人関係でも
趣味でも何でも積極的に取り組んでいきます
何か強いストレスや失敗体験をしたとしても
それによって何かに依存(アルコールや薬、恋愛やお金)したり
癒着や自己犠牲、自滅や破壊的な行動をすることもありません
外側からのストレスに耐える力や困難を乗り越える力に
大きくちがいが出てくる理由は、大人であっても心の安全基地を
しっかりと確保しているかいないかという点にあり
この部分は大人になればなるほど
非常に見落とされがちであったり、軽視されてしまいます
着目すべきは
愛着形成の臨界期は生まれてすぐから1歳半まで
と言われており
幼少期において
しっかり守られて育った人は
大人になってから自分で自分をうまく
守ることができ
十分なサポートと見守られる
ことを獲得してきた人は、大人になって
恋人やパートナーにしっかりと頼ったり甘える
ことができます
だからこそ
大人になってからのうつ病や依存症、人格障害
そこまでいかずとも
人間関係や社会性においてのつまずき
や過度なストレスによる疲弊感や苦しみといった
心を原因として発症する問題のリスクにおいて
愛着スタイル、愛着形成が関係していることは無視できない
ということです
子どもも大人も
求めたときに頼ることができる
いざという時の避難場所となる
ありのままの心を受けとめてくれる
「安全基地」をもつこと
それこそが
心の問題においての改善・解決への
土台となり、道標となっていくのだと思います
あなたには
心の安全基地がありますか?
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