「見捨てられることの不安」と「親密になることの回避」
<二元的な愛着の見方>
愛着を理論的に説明するために2つの軸があります。
ひとつは、自己観に対応する【見捨てられ不安】、
もうひとつは、他者観に対応する【親密性の回避】です。
●「見捨てられ不安」と「親密性の回避」とは
見捨てられ不安とは具体的にどんな不安でしょうか。
【見捨てられ不安】とは
・他者に見捨てられることへの不安
・その関係を維持しうることへの不安
親密性への回避とは具体的にどんな回避でしょうか。
【親密性の回避】とは
・他者との親密さの回避
・他者に心を開くことの拒否
この2軸による度合いから4つに分類された
パターンを「愛着スタイル」や「愛着パターン」と呼んでいます。
●4つの愛着スタイル
「見捨てられ不安」は低く、「親密性の回避」も低い
→【愛着安定型】
「見捨てられ不安」が高く、「親密性の回避」も高い
→【愛着おそれ型】【愛着混乱型】
「見捨てられ不安」が低く、「親密性の回避」が高い
→【愛着回避(軽視)型】
「見捨てられ不安」が高く、「親密性の回避」が低い
→【愛着不安(とらわれ)型】
●愛着スタイルによる反応や行動の違い
ストレス状態に置かれたとき
この4つの愛着スタイルの反応や行動に
どんな違いがあるのでしょうか
【愛着回避(軽視)型】
・愛着の対象から拒絶される不安や恐れを感じずに、そもそも愛着関係を否認したり、回避しようとしたり、親密な関係自体を攻撃的に拒もうとする
【愛着不安(とらわれ)型】
・他者との親密な関係を切望しながらもその関係がいつか無くなるのではないかという不安を強く持っている
・常にその関係性を維持しよう、距離を近づけようということばかりにとらわれながら行動する
【愛着おそれ型】【愛着混乱型】
愛着回避(軽視)型の人のように、表面的には他者から一定の距離をとりながらも、親密な関係を実際には持たない、持てないという特徴がある。またどこかでは愛着不安(とらわれ)型の人のように、親密な関係も求めている。両方の大きな矛盾を抱えている。
●矛盾が最も大きい【愛着おそれ型】
「見捨てられ不安」と「親密性の回避」のどちらの度合いも高い【愛着おそれ型】タイプの人は、他者から拒否される不安を感じながらも、愛着やつながりを求める気持ちもあり、そうした関係を何とか維持しようとするあまりに、自分が感じている苦痛や葛藤、不満を自分の中に抱え込んでしまいます。またその苦悩や葛藤を決して他の誰かに向けないよう、一生懸命我慢し、抑制しているところも特徴です。そのため、常に生きづらさを感じてしまいます。
●愛着障害を感情と行動のパターンからみる
例えばこんな場合…
・「喜びや楽しみの感情」を抑えてしまう
・「うれしい、たのしい気持ち」に素直になれない
愛着の対象である母親を中心に(父親もしくは養育者etc…)
家族関係の中でこんなことが起きていたかもしれません
・はしゃいでいるとよく叱られた
・自分のことを犠牲にしないといけない事情があった
・突然の経済的な困窮を経験している
・うれしかったことを話したら、嫉妬されたり、意地悪をされた
・家の中で、静かに大人しくしていないといけなかった
・母親が大変な苦労をしていて、ずっとその味方になっていた
・その苦労している母親を差し置いて自分だけいい思いはできないと感じていた
・兄弟姉妹の間で比較され、けなされていた
・火事や地震など災害を経験している
このようなことがあった場合、
人は無意識に喜んだり、うれしい気持ちに対して制限をかけます
そして、喜ぶこと自体を回避しよう(回避型)としたり
逆に、喜ぶことに異常な執着(不安型)を見せたりすることもあります
例えば、好きな人からプレゼントをもらったとき。
またこんなシーンでも愛着パターンの違いが垣間見えます。
・こんなものは受け取れないと受け取ること自体を怖がる、避ける(回避型)
・もっと素敵なプレゼントを返さなければ自分は相手から嫌われるのではないか、とプレゼントをもらった喜びよりも、その先のことを考えて不安が強まる(不安型)
・そもそも喜び方が分からない、素直にうれしいと感じられない(おそれ型)
こんなふうに喜ぶこと、楽しいことなど
ポジティブな感情に何か引っ掛かりを感じるというのも
幼少期の愛着形成において、
「喜ぶこと、楽しいこと」に何かしらの制限がかけられていた可能性が原因
だと考えられる場合もあります
その場合には、この制限を解いてあげる必要があり、愛着を安定的なものに再形成することが必要だと考えます
●喜びや楽しみ、幸せを感じることに制限をかけてしまう
愛着障害を抱えている人は、過去の経験の学びから、無意識で喜びや楽しみ、幸せを感じることに制限をかけてしまうことも特徴の一つです。
制限する、我慢する、耐える、ということをしてもしなくても
他の誰かの人生に影響を与えたりはしない、ということを知ってほしいと思います
(参考文献:母子関係の理論:愛着行動 岩崎学術出版)
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