回復力(レジリエンス)の根源は…..
回復力(レジリエンス)の根源は、愛情深く、自分と同調した、冷静な他者に理解されており、その人の頭と胸の中に自分が存在しているという感覚に見つかるだろう。ダイアナ・フォーシャ
愛着理論を構築したボウルビイは、1940年代末の精神分析界では煙たがられる存在だったと記されています。それは、「子どもたちの不穏な行動は、幼児期の性的空想の産物ではなく、ネグレクトや残虐行為や別離といった現実の人生経験に対する反応である」という斬新な主張のせいだったと…
これは現代を生きる私たちもいまだ大いに学ぶべき事であり、よくよく念頭におくべきことだと思います。
私たちは成長するにつれ、身体的にも情緒的にも自らのケアをすることを覚えていきますが、こうした自己愛の最初の手がかりは、自分がどのように面倒を見てもらうか、から得られます。
例えば、風邪気味なら早めに寝るとか家でゆっくり休むといった自分の体調管理や、うれしいときは喜ぶ、寂しいときは寂しい、怒っているときは怒っていると伝えるなど自分で自分の感情ケアができる、といった自己調節技能の習得は、幼少期に養育者とどれだけ睦まじい交流があったかに大きく左右されます。
愛着研究者であるメアリー・メインは、こんな研究結果を残しています。
母親がどこかに行ってしまった子どもについての話を6歳児たちに語り、次にどうなったかについて、お話を作るように頼みました。
すると赤ちゃんのころ、母親と信頼に満ちた関係を築いたことがわかっている6歳児の大半は、良い結果を迎える空想物語を思いついたのに対して、
5年前に無秩序型の愛着関係にあると分類された子どもたちは、悲劇的な空想をする傾向があり、「その親たちは死ぬ」とか、「その子は自殺する」といった反応をおびえながら見せることが多かった。
親が快適さと力の信頼できる源泉になってくれている子どもは、一生にわたって強みを持っているのと同義です。
ジョン・ボウルビイは、子どもたちがある特定の大人(あるいは多くても数人の大人)を選び、本来そなえている意思疎通システムをその人を相手に発達させるようプログラムされており、そのおかげで、最初の愛着の絆が結ばれる。その大人がその子どもに対して敏感に反応すればするほど、愛着は深まり、赤ちゃんは周囲の人々に健全なかたちで反応できるようになる、と言っています。
そして、愛着は「安全基地」であり、子どもはそこから世界へ乗り出してくと考えました。それはその後の研究でしっかり裏づけられています。
安全な避難所を持っていることで、自立心を育み、苦しんでいる人に対する思いやりの感覚や、助けになってあげられるという感覚が育っていく。
愛着の絆を結んだ人との親密なやりとりから、他者にも自分と似た感情と思考や、自分のものとは異なる感情と思考があることを学ぶことができる。
その愛着の性質が安定したものか、不安定なものか。
愛着は子どものその先の未来に、大きな違いをもたらすのだということを今一度、大人である私たちがいの一番に前提に置くべき子どもへの関わり方だと思うのです。