「あなた」がいるその場所には、笑い声ってありますか?
私が以前いた職場での話。毎朝、朝ミーティングなるものを1時間もかけてやっていた。どこの職場でもよくある、その日の予定とか、前日の報告とか簡単な業務連絡もやるけど、その辺のことは10分程度。残りの50分何をしていたかというと。
「隣の人を褒める」
「ゲームで座る順番を決める」→「隣に座った右隣の人を褒める」っていうのを全員ぐるっと一周して終わるんだけど。
これを週2、3回やるの。これがね、毎度のことでしょ。しかも毎日一緒に仕事している訳だから、「こいつの褒めるとこなんてないわー!」って思っちゃう日もあるわけ。でも褒める。
これ、実は、結構いいトレーニングになっていて、自分の中に「いい習慣」ができあがっていた。
それはね、「朝から、一緒に、声を出して笑う。」
なんせさ、テーマは「褒める」だよ。多少お世辞だろうなーとか、大げさでしょーとか、デフォルメしすぎだろーって思ったとしてもだ。人間は、褒められるとやっぱりうれしいもんでね。
「こいつ〜(怒)」って、仕事上で思ってたとするでしょ。そんな「こいつ〜(怒)」って人にだよ、朝から「○○さんは、いつも元気で優しくて、気遣いができるとこが素晴らしいと思ってます!おかげでいつも助かってます!」とか言われたとするでしょ。
そうすると、褒められた方は、内心はね、「そーだよ、結構あんたのこと気遣ってるんだよ。なんだ、分かってないかと思ってたけど、分かってるんじゃん。それなら、まっ、いっか」とかってなったするわけ。
そうすると、「ありがとうございます、そんなことないですよー、うふふー」ってなって、また内心は「私ったら、大きな器だよなー」とか思ったりして、そうすると、だんだんと、お互い笑うしかないみたいな状況になって、なんか可笑しくなって、笑い声がでてきて、昨日いがみ合ってたのに、笑い合っちゃったりして。最後は、「さー今日もがんばっちゃうよ!」ちゃんちゃんってね。
ここで何が言いたいのかというと。
「笑い声は、いい意味での感情を伝染させていく。」
イェール大学スクール・オブ・マネジメントの研究でこんな結果があるそうだ。
「職場では、快活な感情や心温まる感情が最も伝染しやすく、不機嫌は伝染しにくく、憂鬱はほとんど伝染しない。」
「明るい雰囲気は、職場における協調体制や公平性や能率を向上させる」
職場における「笑い」について、ゴールマンはこう分析してる。
「笑い声は、感情の伝染性をはっきりと示してくれる。笑い声を聞くと、私たちは自然に笑顔になったり笑い声をあげたりする。そして、それが連鎖反応のようにグループ全体に広がっていく。笑いが伝染しやすいのは、人間の脳に笑顔や笑い声を感知する開回路が特別に組み込まれているからだ。その結果、いい意味での感情のハイジャックが起こる。」
どうやら、「笑い声」は、人を和ませたり、闘争心を和らげたりする効果があるんだと。
あ、でも「笑顔」はちょっとちがうのよ。これ↓読んでみて。
「笑い声は、友好関係を確信させる唯一無二の信号だ。他の感情を表わす信号と違って
(笑顔は演技で作れる)、声をあげて笑うことは高度に複雑な神経回路の働きを伴い、演技が難しい。」
確かに、見せかけの笑顔で人をだますことはできても、無理な笑い声って空虚に響くってことある。
これを神経解剖学的に言うとこんな感じになる。
「笑いは二人の距離を縮める。笑いの共有によって二人の大脳辺縁系が即座に連動するからだ。」
「この瞬時的、かつ不随意筋的な反応が、人間どうしの最も直接的な脳と脳とのコミュニケーション。いわば、大脳辺縁系固めのような状態でがっちり組み合ったようなものである」
だからね、不信感とか嫌悪感とか抱いている人同士って、「笑い声」を共有していないはず。
これはけっこうなキーポイントだと思う。自分のいる場所思い返してみよう。
そこは、いつも「笑い声」が絶えない場所か。声を出して笑うなんて考えられないって場所か。
ゴールマンは、職場における笑い声についてこうも言ってる。
「職場に笑い声があれば、それは従業員たちが頭だけでなく、心も集中している兆候と言える。しかも、職場での笑い声は、陳腐な冗談とは無関係だ。笑い声は、自分たちは波長が合っている、自分たちはうまくやっている、ということを再確認するメッセージだ。それは、信頼、気安さ、世界観の共有を示す。今のところ何もかもうまくいっている、という信号なのだ。」
あなたの居る場所がいつも「笑い声」がある場所なら、きっとその場所は「信頼」や「価値観の共有」「協調体制」ができている証。でも、もしもそうじゃないんだとしたら、そこには、何か「問題」が潜んでいるかもしれない。
ちょっと見渡してみてー。